Shinya Masubuchi さん

アメリカ大手ゼネコン・プロジェクトスケジューラー

◆ Shinya Masubuchi
1978 年、横浜生まれ。東海大学工学部建築学科在学中より、東京にある福祉建築関係の建築設計事務所に所属。在学中、卒業論文作成の目的でサンフランシスコを訪れ、福祉の勉強をするため留学を決意。2000 年の渡米後、2002 年にコミュニティヘルスワーカーの資格を取得し、福祉の経験を積む。当時働いていたNPO 法人の閉鎖後は一旦日本に帰国し、SF ローカルの小企業を通じてJ-1 ビザでアメリカに戻ってくる。その後、San Francisco State University の大学院にてStructural Engineering を専攻し、建設の世界を目指す。卒業後、某コンストラクションマネージメント会社に勤め、雇用主であった土木系ゼネコンFlatiron へ移籍。鉄道関係の経験により、Caltrain のProject に携わるBalfour Beatty へ転職。2019 年より、Scheduler の経験を生かし、大手ゼネコンMcCarthy に在籍。

コロナ禍でも、ベイエリア各地で建築の槌音は止むことを知らない。主要大学のキャンパスや空港などの重要な建設プロジェクトを手がける大手ゼネコンでスケジューラーとして働く、Shinya Masubuchi さんを特別にJ weekly がインタビューしました。

まずは渡米されたきっかけ と、アメリカ生活で大変だと思ったことは何ですか?

 小さいころから漠然と、アメリカに住みたい! と思ってましたが、大学時代、旅行で訪れ決心しました。大変だったのは、ビザ取得ですね。2000年に渡米後、福祉の勉強をし、福祉関連のNPOで働き、H1ビザを取得したんです。ビザの更新の際に許可が下りず、日本へ一時帰国して二回のビザ更新に挑みましたが、取得できませんでした。運よく、SFローカルの小企業を通して、J1を取得してアメリカに戻ってきました。その後、大学院用に再度F1ビザに変えたのですが、何度も更新していたので、大使館で足蹴にされたり大変でしたね。

小さい頃はどんなお子さんでしたか?

 静かで恥ずかしがり屋かな。いつも一人でレゴやダイヤブロックで遊んでましたね。小学生の頃、新聞と一緒に入ってくる住宅広告を見ながら、真似して図面を描くのが好きでしたね。(笑)

現在のスケジューラーのお仕事では、どのようなことをなさってるのですか?

 スケジューラーとは、図面から建設工程を定め、Oracle Primavera P6 のソフトを使用し施工スケジュールを作成し、運営管理とリスクアセスメントを担うエンジニアです。皆さんも経験あると思いますが、例えばレゴで何か建物を作る前にまず、何を組み立てて、その次は何を建ててって考えるじゃないですか。その計画を作るのが僕の仕事です。

どのようにして、現在の職業についたのですか? 経緯を教えてください。

 実は日本でビザを更新中、生活するために福祉関係の仕事を探してみましたが、取得したアメリカの資格や経験は通用せず、全然仕事が見つからず日雇いの仕事の日々だったんです。その経験から、アメリカに戻る際、次は世界中どこでも働ける分野に挑戦してみようと思いました。元々の目標である建築の原点に戻って、San Francisco State University・建築構造工学の大学院に通いました。
 卒業後、建設会社志望でしたが、日本の経験は認めてもらえず、ボスと社員で二人の小さな建設マネジメント会社に就職しました。その初仕事がスケジューラーだったんです。でも建設エンジニア志望だったんで、腰掛のつもりでした。たまたま、当時勤めていた現場でお世話になったクライアントさんが「建設エンジニアに成りたいなら、うちで現場の仕事経験を積んだらどうだ」と土木会社を紹介してくれました。転職後、メンドシーノやサクラメント、フレズノと現場を転々とし、単身赴任して建設エンジニア兼スケジューラーとして働いたんです。その後、鉄道関連の経験を買われ、大手土木会社からCaltrainをディーゼルから電気に変えるプロジェクトの誘いを受け、ベイエリアへ戻ってきました。「建設会社で働きたい」と思い続けていたんですけど、スケジューリングの経験を買われ、やっと現在の働いている建設会社からお声がかかったんです。嬉しかったですね。

現在手掛けているプロジェクトは何ですか?

 SFSU の芸術学部、SFO の国際線ターミナル、Stanfordの教育学部、ネバダ州の某ソーラー事業を同時進行中です。会社のミッションが”Giving Back to Community”なので、主にエッセンシャルな公共施設を手がけているため、コロナ禍でも現場は動いてるんです。約2年から3年のプロジェクト期間が主流ですね。

これから挑戦したいことはありますか?

 仕事では、ソーラー系のプロジェクト。新しい環境関係の分野をもっと学んでみたいです。プライベートでは、別荘を自分の手で作りたいです。コンテナ構造で、ソーラー完備のエコハウスを作る計画をしてます。もう一つは日本で老後のためにシェアハウスを建てたいです。

ベイエリアで頑張るJ weekly読者にメッセージをお願いします。 

 常に興味を持って、したいことをするべきです。ビザの苦労は重々わかるし、いつでも挫折を転機に変えて、ポジティブに生きることが大事だと思います。「継続は力なり」です。