カリフォルニアの赤ワイン品種で認知度が高いものといえば、まずはカベルネ・ソーヴィニョン、そしてピノノワールやメルロー、シラーなど。やはり、世界中で広く生産されている「国際品種」は知名度が高く、ワイン選びでも手を伸ばしやすい。
そんな国際品種とは対照的に、世界のワイン産地には、各産地固有の地場品種、もしくは主要産地が限られている品種もたくさんあるのですが、知名度で劣る分、ワイン選びの際に敬遠されがちなのがもったいないところ。
ジンファンデルはまさにそんな、もっと魅力を知ってほしい、カリフォルニアが主要産地の赤ワイン品種です。
近年のDNA研究で、ジンファンデルはクロアチア原産の品種で、南イタリアのプリミティーボとも遺伝子レベルで同品種ということが明らかになり、カリフォルニア原産の地場品種ではなくて、移民時代にヨーロッパから持ち込まれた品種であることが確認されましたが、母国ではもうほとんど栽培されておらず、ヨーロッパからの移民がアメリカ人となったように、ジンファンデルもいまやアメリカがホームとなっています。
カリフォルニアでは1800年代にはぶどう畑開墾が始まりましたが、1900年代前半は、禁酒法や戦争の影響でワイン産業が空前の灯火となった時代。ブドウ畑も放ったらかしになり、多くの畑は戦後になって植替えたり新たに開墾されたりしたものですが、ジンファンデルは丈夫な品種だったことから、不遇の時代も自力で生き延びた木が多く残り、現在樹齢80年、100年となってもまだまだ現役の古木が鎮座している畑が州内に点在しています。
古木は若い頃のように実をたくさんつけられず収穫量はぐっと減りますが、うまく手入れすれば、限られた実に、何十年もかけて地下深くまで張り巡らされた根から吸収する栄養をぎゅっと凝縮させ、深みある味わいのワインにもできます。
以前は「質より量」方式の生産者も多かったですが、ジンファンデルの持つポテンシャルが再評価され、貴重な古木もあることから、味わいを追究する造り手が増え、今では高品質のジンファンデル銘柄がたくさんあります。しかも、国際品種と比べると良心的な価格なのも嬉しいところ。
パーティーシーズンも到来。お手頃に楽しめる、カリフォルニアと縁の深いジンファンデルもパーティーの仲間に加えてみてはいかがでしょう☆