収穫の季節。今年は、収穫開始時期がここ数年の平均より2−3週間くらい遅い始まりとなっています。8月の終わりから9月にかけて、涼しい日々が続いたことで、ブドウの実の熟す速度が緩やかになったため、生産者は、ゆっくりじっくりと、収穫に最適な熟度に達するのを待っていたのです。
この収穫前の「ゆっくりじっくり」は、質の高いワイン用ブドウに仕上げるために最高の気象条件。ワイナリー関係者たちはホクホクと喜んでいる様子。
ブドウの実は、他の果実と同じく、熟すほどに糖度が上がり、酸度は下がっていきます。未熟な果実をかじると酸っぱさばかりが目立ち、熟しきったやわらかい果実は、ひたすらまったりと甘い。酸っぱいだけではおいしくないし、甘いだけでも締まりのないのっぺりとした大味になってしまう。
ブドウの味わいはもちろんワインの味わいに繋がるので、果実の味わいがありながら、適度な酸味もあるバランスのとれた味わいのワインを造るためには、熟度と酸度のバランスが重要なポイントとなるのです。
カリフォルニアは温暖なので、暖かい日が続くと一気に、実が熟しすぎ、酸度が下がりすぎてしまいがち。収穫後にワイナリーで過酸して味わいを調整することも多々あります。でも、今年は熟度の上昇も酸度の低下も「ゆっくりじっくり」なので、多くの生産者が最適なバランスで収穫できることを期待したいと思います 。
質の高いブドウとは、果肉の熟度と酸度のバランス、それから、ブドウの種や茎も熟しているもの。そう、種や茎も熟すんです。例えば、熟していない種や茎はまだ緑色で、かじると青くて苦いけれど、熟してくると茶色くなり、苦味が薄れて香ばしさが出てくる。それはもちろんワインの味わいへも反映されます。
種や茎が熟すには時間がかかるのですが、今年のように果肉の成熟がゆっくりじっくりだと、種と茎の成熟も果実の成熟に追いつき、ブドウの房全体がバランス良くきれいに成熟しています。
天からの「ゆっくりじっくり」の恵みを受けたブドウが、ワインへと姿を変えて、その恵みがボトルに詰められ私たちの元へと運ばれてくるのはまだ先ですが、期待して待ちたいと思う2018年ヴィンテージの収穫です☆